2018.09.18
8月1日から5日まで、アメリカ西海岸の都市、ポートランドでTypeCon2018が開催されました。今年は開催20回目ということで、20を表すXXをキービジュアルとして使用。ウェブサイト、ブックレット、会場のバナーに至るまで、XXのビジュアルで統一されていました。この記事では、私が参加してきたカンファレンスの様子をリポートします。
例年通り、最初の2日間(8月1〜2日)は地元の美術学校 PNCA(Pacific Northwest College of Art)でさまざまなワークショップが行われました。内容は、ジョン・ダウナーさんのレタリングワークショップ(2日間)やGlyphsでバリアブルフォントのアニメーションをつくるワークショップ(半日)など14種類。今回、残念ながら日程の関係で参加できませんでした。
ワークショップのプログラムはこちらを参照ください。
http://www.typecon.com/workshops
後半の3日間(3〜5日)がカンファレンスとなります。今年の会場は、Hilton Portland Downtown。TypeCon参加者は割引価格で宿泊ができます(TypeConのサイトから要申し込み)。カンファレンスの合間に部屋に戻って休んだり、荷物を置きに行けたりするので、カンファレンス会場のホテルに宿泊するのがおすすめです。
まず、カンファレンス会場(ホテルの地下1階)に着いたら、受付で名前と参加番号を伝え、名札とバッグを受け取ります。名札は開催期間中、首からかけておき、パスとして使用。バッグの中には、プログラムのほか、協賛企業提供の書体見本やノベルティが入っています。
初日3日(金)は朝9:00に開場し、受付開始と同時に朝食が提供されます。コーヒーなどの飲み物と、パン、フルーツ、ヨーグルトなどの軽食。ベーコンとチーズをはさんだクロワッサンなどもありました。ここで朝食をとりながら、参加者同士でおしゃべりしたり、情報交換したり、コミュニケーションを楽しみます。
そして、9:30からカンファレンスがスタート。最初にTypeConを主催するSoTA(Society of Typographic Aficionados)の方々が壇上にあがり、メンバーを代表してニール・サマワーさんがご挨拶。挨拶はさくっと終わり、9:50から最初のプレゼンテーションが始まりました。
プレゼンテーションのプログラムはこちらを参照ください。
http://www.typecon.com/program
最初のプレゼンターは、グリーティングカードのメーカー、ホールマークの女性インハウスデザイナーLila Symonsさん。「#FontsMadebyWomen: A Look Into the Typefaces Created and Developed by Women at Hallmark」というタイトルで、ホールマークに所属する女性デザイナーによってつくられた書体のお話。
ホールマークのグリーティングカードのほとんどは、社内デザイナーによってデザインされているそう。デザイナーが手で描いた文字もフォント化し、他のデザイナーも使えるよう、社内にストックしておくのだとか。長い目で見たら、外注するよりも、メリットがあるのかもしれません。プレゼンテーションでは、社内デザイナーごとに作品を紹介。カラフルで楽しいプレゼンテーションでした。
2つ目のプレゼンテーションでは、反戦や暴力反対など女性が訴えてきた政治活動のポスターを紹介。女性をテーマにしたプレゼンが続きます。キーノートスピーチでも女性が登壇するなど、今回のtypeConでは女性の登壇が目立っていたので、ニールさんに聞いいてみると、登壇者の男女比が半々になるようにしたとのこと。キービジュアルの「XX」には、「20」のほかに、女性を表す染色体の「Xx」の意味もかけたそう。
午前の部は12:30で終了。お昼休みを2時間はさみ、14:30から午後の部が始まります。途中でコーヒーブレイクがあり、ロビーでコーヒーを飲みながら、参加者とおしゃべり。どのプレゼンが面白かったか、聞いておくべきプレゼンはどれかなど、情報交換しました。
個人のプレゼンテーションは1本20分、キーノートは40分。この日は12本のプレゼンと2本のキーノートがあり、18:00すぎにすべてのプログラムを終了。18:30からはホテルの23階で「The SOTA Spacebar」というAdobe Typekit主催のパーティーがありました。
知らない人同士でも話しかけられるよう、会期中はコーヒーブレイクやパーティーなど、交流の機会も設けられています。知り合いがいなくても、自分がつくった書体や作品をまわりに見せることで会話が広がるのがTypeConのよいところ。有名なデザイナーとも気軽に話せるカジュアルな雰囲気なので、遠慮せずに自分から話しかけたほうがきっと楽しいと思います。