TypeTalks 第44回

TypeTalks 第44回

ウェブ組版の現在—ウェブのタイポグラフィを検証する

出演:
カワセ タケヒロ
開催:
2018年5月19日(土)18:00~20:00

 

 

ウェブサイト上でウェブフォントが一般的に使われるようになり、CSSを使った文字組が進化している現在、ウェブのタイポグラフィ環境もだいぶ変わってきました。字詰めの調整や縦組の指定も可能になり、組版の再現性が向上してきています。

今回は、縦書きウェブサイトのコンペティション「たてよこWebアワード」(https://tategaki.github.io/awards/)の審査員を務めたカワセタケヒロさんをお招きして、ウェブのタイポグラフィについてお話をうかがいました。以下は当日のレジメです。

 

1.ウェブ組版の制約 
閲覧環境やブラウザの種類によって、表示される書体や組み方がどのように変わるのか説明していただきました。特に約物や字詰めについては、クロスブラウザで比較。

2.ウェブとフォントの変遷
font-familyで serifやsans-serifといった大まかな指定から、用途や推奨環境に合わせたfont-familyの指定、Flashや画像を用いた〝非文書的〟な組版表現、そしてウェブフォントを用いた指定へと移り変わりました。 現場ではそれぞれどのように扱っていたのか。

3.DTPの組版とウェブの組版の比較
Typography magazineの組版をそのまま抜粋して、HTML+CSSで組んだウェブ組版を各ブラウザで表示した画像とDTPの組版とを重ねて検証。 ウェブ組版が得意な組み方・苦手な組み方を教えていただきました。

4.ウェブ独特の組版
ウェブサイトでしか生まれない「ウェブ組版」の可能性 マルチデバイス対応や、JavaScript等によるアニメーションとの組み合わせ、アイコンフォントを用いたユニバーサルウェブデザイン的組版など、ウェブと組版の関係性に見る注意点や可能性。

ウェブ組版については、規格を決めている団体W3Cやブラウザの機能の影響を受けているのがわかりました。すでに規格が発表されていても、ブラウザで表示すると反映されなかったりと、実務レベルでまだ課題がありそうです。日々変化していくウェブの組版については、情報や知識のアップデートが欠かせない印象を受けました。