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2019.09.16

ATypI 2019 Tokyo レポート(後半)

(前半から続く)

ATypIは、ワークショップやプレゼンテーションのほかにも数々の楽しいイベントがあります。それらを通して、参加者同士が気軽に交流できるのがATypIの醍醐味です。

 

開始前の朝食、コーヒーブレーク、昼食もすべて会場で提供されます。こちらは、セッション合間のコーヒーブレークの様子。参加者が飲み物や軽食を片手におしゃべりしています。

 

ATypIでは、書体デザイナーが書体を講評してくれる「Type Crit」という公開講評会があります。参加希望者は自分の書体をプリントアウトして持参し、写真のように書体デザイナーから直接アドバイスを受けるという試みです。5日の昼休みは和文書体の講評(写真の左側手前から、高田裕美さん、鳥海修さん、岡澤慶秀さん)、6日の昼休みは欧文書体の講評(写真の右側手前から、ジェリー・レオニダスさん、ベロニカ・ブーリアンさん、サイラス・ハイスミスさん)でした。書体デザインを勉強している方が経験ある書体デザイナーからアドバイスをもらえるのは素晴らしいことだと思います。

 

こちらは展示スペース。受付の裏にあったグランシャンのノン・ラテン(アルファベット以外の言語)書体コンテストの作品展示(写真上)。10年間の受賞作から選ばれた作品が展示されていました。また、未来館ホールの前には、嘉瑞工房所有の活版印刷ポスターなど貴重な資料も展示(写真中)。別の部屋では、日本タイポグラフィ協会の年鑑に掲載されたロゴマークとニューヨーク・タイプディレクターズクラブの受賞作品もありました(写真下)。

 

そのとなりの部屋は、協賛企業のブースとサンフランシスコのアートセンターの展示(写真上)、その向かい側のコーヒーブレークの場所には、type.centerによる展示(写真下)がありました。会場が広いためか、例年よりも展示が多く、充実していたのはよかったです。

 

その他、カリグラファーや書道家のライブドローイングや、活版印刷の体験(大阪のなにわ活版印刷所が出張)などもありました。メインのカンファレンス以外にも、こうした小さなイベントが充実していたのも今年の特徴(例年はもっと少なく、あっさりしてます)。参加した方々に「楽しんでもらおう」という事務局側の意図ときめ細やかな配慮が感じられました。非常に密度が濃く、満足度の高いATypIになったのではないかと思います。